札幌高等裁判所 昭和32年(ラ)41号 決定 1957年6月18日
抗告人 倉内清
訴訟代理人 岩田玉之助
主文
本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人の負担とする。
理由
抗告代理人の抗告理由第二点について。
抗告代理人主張の事実は、これを認めるに足りる証拠がないから、論旨は採用することができない。
同第三点について。
競売法第二七条の利害関係人である債務者とは、競売手続において主張される抵当権により担保されている債権の債務者を指称するものと解すべきところ、抗告人は、本件競売手続において主張される抵当権により担保されている債権の債務者でないこと記録上明白であるから、同人は本件では右法条の債務者として競売期日の通知を受くべき利害関係人ということができない。それ故、抗告人に競売期日の通知がなされなくとも不法でない。論旨は採用に値しない。
記録を調査するも、他に本件競落を不許可とすべき理由を見出すことができない。
よつて、民事訴訟法第四一四条、第三八四条、第九五条、第八九条を適用して主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 猪股薫 裁判官 臼居直道 裁判官 安久津武人)
抗告の理由
一、旭川地方裁判所昭和三二年(ケ)第一九号不動産競売事件(債権者高口フジ子債務者兼所有者倉内トメヱ)で同年五月八日フジ子を競落人とする競落許可決定をした。
二、本件家屋は申立人の所有で且つ申立人が居住し居るが登記を妻たるトメヱ名義に預けた。処がトメヱは密夫を作り家出後登記が自己名義にあるを奇貨とし抵当権を設定し引いて本件競売となる。
三、登記簿謄本に明らかなる如く申立人が債務者となりトメヱが担保提供者となり根抵当権を設定し金借し居る部分あり。而して競売法第二七条によれば申立人も利害関係人である、故に競売期日は申立人たる債務者にも通知を要す、処が其通知は申立人たる債務者にしてないことは記銀上明か也。然るに競落許可決定をしてる。之は競売法に準用ある民事訴訟法第六七二条第一に違背するから本抗告に及びます。